太宰府歴史人物 大観② 太宰府と西郷隆盛

太宰府と西郷隆盛

西郷隆盛が、変名を用いて大宰府に滞在した理由は、廷寿王院に閉居させられていた
五卿のもとで、維新回天の密議するため、あるいは、五卿を監視する幕府側の
諸藩兵の勃発を防ぐ任にあたっていたためである。その頃の話が、今に伝えられている。
手の外側に黒い煤がついているのに気づき、尋ねてみると
【今日二十五日は天神さまの縁日なので、昨日は夜通し、お灯明を焚いていたのだ。】
とその理由を答えた。この時、西郷は、自分の掌をくぼませて油を溜め、それに灯明をたらして、火を点じ、熱さをがまんして一晩中、天神さまに、維新成就を願っていたのである。

西郷の精神力の強さと相まって、天神信仰の篤さを教えてくれるエピソードである。
その後、坂本龍馬の仲介で薩長同盟が成立し、大政奉還から戊辰戦争、そして明治維新はついに成し遂げられたのである。